歌姫アンナ

 『II』のペルポイの町でその歌声を披露してくれる、歌姫アンナ。ここでは彼女の秘密に迫ってみたいと思います。
(画像協力: サイト 探せ!! Love Song

元祖・歌姫アンナ

←とりあえず、これが歌姫アンナだッ!!

 ペルポイの町に入るとすぐそこにいる彼女。話しかけると『Love Song 探して』を歌ってくれます。平たくいうとBGMがこの曲に切り替わるわけです。左はファミコン版の画像ですが、実は歌姫アンナが登場するのはファミコン版のみで、SFC版、GB版からは姿を消しています。
 これは何故かというと、実はもともと歌姫アンナというのは、ドラクエIIのイメージソングを歌っていたアイドル、牧野アンナが、タイアップ企画「アンナを探せ!キャンペーン」によってゲーム中に登場した姿だったのです。彼女が歌っていたイメージソングこそ、『Love Song 探して』。作曲は当然、すぎやまこういち(ちなみに英題は『Only Lonely Boy』)。そう、この曲はもともとアイドル歌謡だったのです。だから他のBGMと全然ノリが違うんですね(笑)。ハッキリ言って完全に浮いてます。
 つまり、その後のリメイク版に歌姫アンナが登場していないのは、このキャンペーンが時効(?)になったからと考えられます。私は当時このキャンペーンを知らなかったので、これは堀井雄二のちょっとしたお遊び(笑)かと思っていたのですが、リメイクでカットしたということは、キャンペーンだから入れただけで実はあまり気に入ってなかったのかもしれません。
 ただ、もう一つの理由として考えられるのは、曲のアレンジの違いです。ファミコン版の『Love Song 探して』はモロに歌バージョンがベースになっており、豪快に鳴り響くという印象(笑)ですが、リメイクでは『インテルメッツォ』の代わりに使われていることもあり、BGMらしく控えめなアレンジで、全く印象が変わっています。仮に「あなたに歌を聴かせましょう」と言ってこのBGMが流れ出したとしても、歌っているように聞こえないでしょう。メインの旋律も地味でハッキリしないし。と、そういう実際上の都合でカットされたとも想像できます。歌わなければ「歌姫」じゃないですからね。
 ちなみに、実在の人物がドラクエに登場した例は、シリーズ通じてこの牧野アンナだけだと思います(笑)。

ペルポイの歌姫  といったわけで、ファミコン版にしか登場しておらず、グラフィックも普通の町娘で、もちろんデザインなども存在していない「歌姫アンナ」ですが、実は意外なところでビジュアル化されていました。
 右の画像ですが、『ドラゴンクエスト 知られざる伝説 ロト2』という本の挿画です。実は私は、つい先日古本屋で見つけるまでこの本の存在すら知りませんでした。刊行されたのは1992年ですから、時期としてはドラクエVの発売より後ということになります。IIIやIVの『知られざる伝説』はわりとよく知られていますが、この本はやや時期を逸したために知名度が低いのではないかと思われます。タイトルが『ロト2』となっていますが、他に『〜ロト1』という本があるわけではありません。IとIIを指して「ロト編の2本」といったような意味合いでしょう。
 内容は他のシリーズと同じように、IとII(主にIIですが)の外伝的なエピソードを集めたものです。全9話中の第8話が『ペルポイの歌姫』。エピソード自体は、ずっと地下都市ペルポイの中で暮らしていたアンナが、小鳥に導かれはじめて地上へ出て歌う、という他愛のない(失礼)話です。時期は本編より後で、ハーゴンが滅んだことを知らずに地下に籠もったままだったペルポイの人々がやっと地上に出てくる、という話でもあるようです。そう考えると、歌姫アンナの噂を聞いてペルポイを訪ねてきた小鳥が、実は平和を告げる使者でもある、というモチーフなのかな?コジツケかもしれませんが。
 で、歌姫アンナですが、なんか想像より派手な感じですね(笑)。まあゲームの数年後と考えると(根拠はないですが)年頃になって着飾るようになったとも考えられますが、金髪というのもなんとなく意外だった。みなさんはどう思いますか?

歌姫アップ
これがアップ。

牧野アンナ
ちなみに、こちらが牧野アンナさん。(1987年当時)



さらに番外 もう一人のアンナ(?)

アンナちゃん
 SFC版のIIIで、スーの東に商人を連れて行くとできる町、その商人の名前を取って「○○○バーグ」という町になるところですね、あの町の最終形態、つまり一度投獄された商人が釈放されて仲間に戻った後、ボッたくりバーだった建物(笑)でちびっ子のど自慢大会が開催されています。そのステージで熱唱しているのが左のアンナちゃん。歌姫アンナのご先祖か前世かも(笑)。
 ちなみに歌はこのあと「はやく〜 わた〜しを〜 む〜かえ〜に きて〜♪」と続きます。


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